2020/05/07
毛虫皮膚炎は、蛾や蝶の幼虫である毛虫の持つ毒針毛に触れることによって起こる皮膚炎です。原因となる代表的な虫はチャドクガで、その幼虫は5~6月と8~9月頃に発生します。近所の庭木や公園のツバキ、サザンカなどを好みます。毛虫には数十万本の細かな毒針毛があり、危機を感じると毛を空中に発射して身を守るという習性があります。したがって、直接触れなくても毛虫に近づいただけで皮膚に毒針毛が刺入し、皮膚炎を起こす場合もあります。
毛に触れた直後にはほとんど自覚症状がありません。数時間してからピリピリとしたかゆみが出てきます。その後、1~2日のうちに赤い丘疹が広範囲に出現し、強いかゆみを感じます。毛虫皮膚炎の診断は医師には容易ですが、ご本人は気づいていないことも多いです。
毛虫皮膚炎はかゆみが激しく一時的なものですので、治療には通常の湿疹などの場合よりも強めのステロイド外用薬を使い、できるだけ速やかに改善させるようにします。また、掻くことによって二次的に痒疹やとびひを起こさないように、抗アレルギー剤の飲み薬を使用する場合もあります。
刺されたことに気付いた場合は、患部に残っている毒針毛を除去するために、できるだけ早くガムテープを刺された皮膚にはりつけてはがし、せっけんと流水で洗浄することが有効です。その際、着ていた衣類もすぐに洗濯することが必要です。毛が刺さったままその部分の皮膚を掻くと、毛が皮膚の奥まで刺さり皮膚炎が長引く場合がありますので、注意が必要です。